製品情報:アルミ電解コンデンサ

アルミニウム電解コンデンサ テクニカルノート

1. 概要

1-1 基本構成・構造

 図1にアルミニウム電解コンデンサの基本構成を示します。
 アルミニウムの表面に形成された酸化アルミニウムを誘電体とし、陽極箔と陰極箔との間に介在するセパレータ紙内に含浸した電解液を真の陰極としてコンデンサを形成したものです。
 酸化アルミニウムは、アルミニウムを電解液中で陽極酸化する事(化成処理)により得られ、その厚さは非常に薄く、印加された電圧に比例します。

図1 アルミニウム電解コンデンサの基本構成

図1 アルミニウム電解コンデンサの基本構成

・陽 極……陽極箔のアルミニウム地金部分
・陰 極……真の陰極は電解液
・誘電体……陽極箔上に生成させた酸化アルミニウム皮膜
・陰極箔は、外部端子と電解液が電気的に接触する役割を果たします。
 一般の有極性コンデンサの陰極箔の化成処理は行いませんが、エッチング後空気中の酸素により
 酸化され自然酸化皮膜が形成されます。この自然酸化皮膜の耐圧は1~2Vと言われています。
・セパレータ紙は、両極箔の接触を防止すると同時に、電解液を保持する役割を持っています。

 表面に形成された酸化アルミニウム皮膜は、アルミがプラス、電解液がマイナスになった時にのみ耐電圧を持ち、この逆の場合には数秒のうちに耐電圧を失ってしまう、いわゆる弁作用を示します。その結果、アルミニウム電解コンデンサには極性が存在するのです。
 従って、両極箔とも酸化アルミニウム皮膜を形成させたものならば、無極性のアルミニウム電解コンデンサとなります。
 アルミニウムの弁作用については、諸説があり現在でも様々な文献が出ていますが、水素イオン説が有力であろうと考えられています。これは、電解液をプラス、金属をマイナスにして電荷を加えると、皮膜表面に集まった水素イオンはそのイオン半径が極めて小さい為、アルミ酸化皮膜内を通り抜けて酸化皮膜と金属の間に達し、そこで放電して水素ガスとなります。この水素ガスの圧力により酸化物が本体から引きはがされ、そこに電解液が浸入して電流が流れ出します。この逆に電圧を印加した場合は、陰イオンが皮膜表面に集まります。しかし、陰イオンは水素イオンに比較し、イオン半径が大きく、酸化皮膜内を通り抜けることができない為に、耐電圧をもつというものです。
 アルミニウム電解コンデンサの素子は図2のように陽極箔・陰極箔・セパレータ紙を円筒形に巻いたものから電極端子を引き出した構造になっています。

図2 アルミニウム電解コンデンサ素子の構造

図2 アルミニウム電解コンデンサ素子の構造

 アルミニウム電解コンデンサは、上記素子に電解液を含浸させ、アルミケースと封口材で封止して製造しますが、製品形態により電極端子の引き出し構造や封止構造などが異なります。代表的な構造を図3に示します。表面実装形は、リード端子形のリード線を表面実装できるように加工し座板を履いた形状となっています。また、基板自立形は、素子からの電極引き出しがリード線ではなくアルミタブになっており、ツメ端子付きの封口板に接続し封止されています。

図3 アルミニウム電解コンデンサの代表的な構造

図3 アルミニウム電解コンデンサの代表的な構造

1-2 構成材料

 アルミニウム電解コンデンサの主な構成材料について説明します。
《電極箔》
 電極箔には、一般に20~120µmの高純度(99%以上)のアルミニウム箔を使用します。
大きな静電容量を得るために、電極箔表面積を増やすエッチングという電気化学的な粗面化処理を行いますが、このエッチングにより形成されるピットの形状は、面積効率を考慮して定格電圧により選択されます。すなわち、低圧用には交流エッチングによる多孔質なピット形状、高圧用には直流エッチングによるストレートなピット形状のものを用います。(写真1)

低圧

低圧

高圧(レプリカ)

高圧(レプリカ)

写真1 エッチング箔断面の例

 陽極用エッチング箔は、この後陽極酸化処理を施し箔表面に誘電体となる酸化アルミ皮膜を形成(化成)して、目的の耐電圧を得ます。(写真2)

エッチング済み

エッチング済み

化成済み

化成済み

写真2 高圧箔の表面拡大の例

《セパレータ紙》
 セパレータ紙は主に天然セルロース繊維で構成され、厚さは、一般に20µmから90µmで、製品のインピーダンス、定格電圧に合わせて厚さと紙の種類を選定します。高い密度と厚い紙は、高い定格電圧の製品に使用される傾向にあり、低インピーダンス品の場合には、低密度紙が選択されます。写真3に典型的な低圧用及び高圧用セパレータ紙の拡大写真を示します。低圧用は低インピーダンス(低ESR)化を目的に比較的細く丸い形状の繊維で構成されています。これに対し、高圧用は高い耐電圧を維持するために扁平な形状の繊維で構成されています。

低圧用

低圧用

高圧用

高圧用

写真3 セパレータ紙表面の例

《電解液》
 電解液はイオン性物質を溶媒に溶解させた電気伝導性を有する溶液であり、その特性が製品の耐電圧・温度特性・周波数特性・寿命特性に大きな影響を与えるため、重要な構成材料です。定格電圧・使用温度範囲・要求特性に応じて最適な電解液を選定します。
また、電解液は陽極酸化皮膜の欠陥部修復も担っており、この修復性能はセラミックコンデンサやフィルムコンデンサなどのコンデンサには見られない電解コンデンサの特長です。

《ケース・封口材》
 電解液の乾燥や液漏れを防止するために、アルミケースと封口材で気密性を確保します。また、異常時のガス発生による内圧上昇に対応するため、ケースまたは封口材に安全弁(防爆弁)が設けられています。
 封口材には、外部電極端子同士あるいはケース・外部電極端子間での短絡を防ぐ役目もあるため、絶縁性のゴムや樹脂が使われます。

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