製品情報:技術トピックス

超長寿命アルミ電解コンデンサの紹介

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はじめに

地球温暖化防止に向けて、国家レベルおよび企業努力によってCO2削減のための取り組みが進められている。また、2011年3月に発生した東日本大震災によって原子力発電に対する考え方が日本国民の中で変わり、原子力発電所の停止が相次いでいる。このため日本国内の電力需要が供給を上回る可能性が大きくなり、日本全体で省エネルギーに対する取り組みが大きな関心を持つようになった。さらには世界的な人口増加や、中国やインドなど世界人口に占める割合の大きな国で郊外(農村)から都市で生活する人口比率が拡大してきていることなどによってエネルギー消費が増えてきている。この対応策としてエネルギーを有効利用するためのスマートハウス、スマートシティ、スマートグリットといった構想が民間だけでなく国家レベルのプロジェクト事業として進められており、地球環境問題,エネルギー問題が急務の課題のひとつであることは全世界の共通の認識となっている。
地球温暖化防止,省エネルギー化を達成する手段としてLED(Light Emitting Diode)に注目と期待が集まっている。LEDは多くの分野で検討され採用が進められており、特に照明機器は身近な温暖化防止,CO2削減,省エネの手段として、白熱灯や蛍光灯からLED照明への切り替えが盛んに行われている。このLED照明は省エネと長寿命化が主な特徴であり、LED照明機器に使用される部品は小形で長期使用に配慮した部材の選択と回路設計の工夫が必要である。

LLEシリーズ
写真-1 小形長寿命を実現したLLEシリーズ

LED照明機器には、アルミニウム非固体電解コンデンサ(以下アルミ電解コンデンサと記す)が使用されているが、他のコンデンサに比べて使用温度範囲が広く小形で大容量化が実現でき安価であるという特徴を持っている一方で、有限寿命であるというデメリットを持っている。LED照明機器ではアルミ電解コンデンサは必要不可欠の電子部品であるが、有限寿命部品であることから機器の寿命を左右するデバイスのひとつとなっている。
アルミ電解コンデンサの長寿命化は、大きなテーマとして以前よりコンデンサメーカ各社で研究が行われている。ルビコンでは、独自の技術で高信頼性電解液を開発し、小形で長寿命を実現したアルミ電解コンデンサLLEシリーズ(写真-1)を商品化した。本稿では、このLLEシリーズについて紹介する。

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アルミ電解コンデンサの長寿化の必要性

アルミ電解コンデンサの寿命は温度依存性が高いため、コンデンサの周囲温度を低減させることでセットの長寿命化が可能となる。このため、回路設計において機器の期待寿命を満足させるように部品配置を工夫し、コンデンサの周囲温度を下げる対応をしていることがある。しかし、LED照明(特に電球タイプ)ではセット自体がコンパクトであるため、部品の配置等の回路設計の工夫だけでは機器の期待寿命を満足することが難しくなってきていた。このことから、電球タイプのLED照明に使用するアルミ電解コンデンサには、105℃換算で10,000時間の寿命のコンデンサでは機器の期待寿命が満足できないセットがあり、更なる長寿化の要求が高まっていた。

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LLEシリーズの特徴

LLEシリーズは、長寿命化の要求の高かった電球タイプのLED照明を主な用途として開発を進めた。このシリーズの特徴は、定格電圧160V~400V,ケースサイズΦ6.3×11L~Φ10×16Lのサイズにて業界最長の12,000時間~20,000時間の長寿命化を実現したアルミ電解コンデンサである。表-1は、寿命時間を従来の長寿命コンデンサで照明機器に多く採用されている弊社BXCシリーズと比較したものである。LLEシリーズは従来の最長寿命を規定したBXCシリーズにない小形サイズまでラインナップしているが、サイズ毎に寿命を比較すると、LLEシリーズはBXCシリーズに比べると1.8~2倍の長寿命化を実現していることが判る。
グラフ-1は、リード線短タイプの中高圧品(サイズΦ10X16L品)の寿命時間の変遷を表したものである。四半世紀の間に格段に長寿化が図られてきており、この中でもLLEシリーズの実現した寿命時間の延びが大きいことが分かる。

サイズLLEシリーズBXCシリーズ
6.3×11
8×9
10×9
12,000Hラインナップなし
8×11.5
10×12.5
15,000H8,000H
10×1620,000H10,000H

表-1 規定寿命時間の比較(時間 / 105℃)

LLEシリーズを使用することで、以下のようなことが期待できる。
(1)厳しい使用環境下でも機器の更なる長寿命化が可能になる。
(2)アルミ電解コンデンサでは機器の期待寿命が満足できず、MLCCやフィルムコンデンサなどを使用していたところがアルミ電解コンデンサで対応できるようになり、コストダウンが期待できる。
(3)いままで機器の実使用時の寿命を配慮して数ランク大きいサイズのコンデンサを選定していたところを外形寸法の小さいコンデンサを使用することが可能となり機器の小形化を図ることができる。
(4)機器のセット内温度が上昇してしまうためにコンデンサの配置やセット内の熱の放熱を工夫して対応していたところでは、回路設計が簡単になり機器の小型化がし易くなる。

長寿命化の変遷
グラフ-1 長寿命化の変遷

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LLEシリーズの長寿命化の技術要素

アルミ電解コンデンサは主に、コンデンサ内部に保持されている電解液が封口材を介して外部へ蒸発し減少していくこと及び、電解液自体の特性変化等によりコンデンサの特性劣化が進む。このためにアルミ電解コンデンサの寿命は内部の電解液の拡散を防ぐこと、電解液自体の劣化を防ぐこと、適切な電解液量をコンデンサ製造の段階で保持させておくこと、などが長寿命化の主な対策となる。
アルミ電解コンデンサに使用されている電解液の溶媒は数種類あり、その中でもエチレングリコールを主溶媒とした電解液は、コンデンサメーカ各社で研究開発が行われ、配合のノウハウが蓄積されてきている。ルビコンでは、50年以上に渡り培ってきた電解液の配合技術のノウハウによって高温域でも長期安定性に優れた電解液を開発し、LLEシリーズに採用した。この電解液は、一般汎用品に使用している電解液に比べて、高温での経時的特性変化率を約1/3以下まで低減し、電解液自体の熱劣化を最小限に抑えたものである。
また、封口ゴムは気密性に優れた数種類の配合の中から前記の電解液とのマッチングがもっとも優れているものを選定している。さらに、最適な電解液量を確保するための製品設計と社内開発した製造設備によって安定した電解液量を確保している。
LLEシリーズは、材料,製品設計,製造設備のそれぞれの技術を集結させることで長寿命化を図ったシリーズである。
グラフ-2はLLEシリーズ400WV6.8µF10×16の寿命試験のデータ(静電容量変化率,損失角の正接の変化)である。このデータのように長時間電気的特性は安定している。

LLEシリーズ高温リプル負荷試験
グラフ-2 LLEシリーズ高温リプル負荷試験

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今後の取り組み

LLEシリーズは、特に長寿命化要求の高かった電球タイプのLED照明を主な用途として開発したシリーズである。このためにサイズ及び電圧範囲が限られたシリーズとなっている。今後、長期使用及び使用環境の厳しい機器で幅広く貢献できるように市場要求を見据えて、LLEシリーズを拡充していく予定である。

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終わりに

機器の小形化によりセット内温度が上昇してきており、そのような機器においても長期使用に耐えられる部品が求められている。アルミ電解コンデンサは有限寿命部品であることから機器の寿命を大きく左右する部品であるが、大容量でまた容量あたりの価格が安いために多くの機器に使用されてきた。アルミ電解コンデンサの長寿命化は機器の長期信頼性を確保する上では必要不可欠であることから、長年にわたるテーマとして取り組みがなされ、長寿命化が図られてきているが用途によってはまだ十分とはいえない。したがって今後も、アルミ電解コンデンサの長所を生かしたうえで、更なる長寿命化の検討を進めていく必要がある。

※本稿は、2012年1月26日発行の電波新聞「ハイテクノロジー」に記載記事を基に加筆、修正したものです。

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