製品情報:アルミ電解コンデンサ テクニカルノート/コンデンサ、キャパシタ、電源ユニットのルビコン株式会社

製品情報:アルミ電解コンデンサ

アルミニウム電解コンデンサ テクニカルノート

6. 使用上の注意事項

6-1 使用上の注意事項

 アルミニウム電解コンデンサ使用上の基本的な注意事項についてはこちらをご覧ください。

6-2 充放電使用

 アルミニウム電解コンデンサは、充放電を行う回路に使用される場合、この充放電の繰り返しにより、特性の劣化が加速されます。充放電電圧が高く、放電抵抗が小さいほど、また、充放電サイクルが短く、周囲温度が高いほど劣化は加速されます。サーボアンプなど頻繁に回生が発生する機器や照明等大きなリプル電圧振幅を伴う機器において、充放電条件によっては圧力弁作動や破壊に至る場合があります。従って、使用条件を充分考慮した上で、コンデンサを選択し使用することが必要です。
 充放電により、コンデンサの特性劣化や故障が発生する要因として、充放電電流による発熱や漏れ電流増大、陽極酸化皮膜の劣化・局部的な破壊、放電による陰極箔化成とそれに伴うガス発生などが挙げられます。

①充放電電流による発熱
 カメラのストロボや溶接機など放電抵抗が小さく数Ω以下で頻繁に充放電を行う回路に使用されるコンデンサは、充放電電流が大きいことによる発熱が特性劣化の主要因となります。
図21 充放電回路の概略図
                    図21 充放電回路の概略図

 アルミニウム電解コンデンサはその構造により図21に示す様に内部抵抗 RE が存在します。内部抵抗は電解液、電極箔や酸化皮膜の特性に起因します。そして放電時のこの内部抵抗による損失W は式20で示されます。
式20
 この損失による発熱でコンデンサの内部温度は上昇します。温度上昇は発熱量とコンデンサ表面からの放熱量が平衡状態になるまで進みます。
内部温度が高くなることにより、陽極箔の酸化皮膜の劣化が進行し、漏れ電流の増加、内部抵抗の増加など、コンデンサの特性劣化が加速されます。従いまして、この様な放電抵抗が小さく、頻繁な充放電を行う回路に使用するコンデンサは、発熱を小さくする為、内部抵抗を小さくし、寿命を延ばす仕様を採ったコンデンサを用いることが必要となります。また、充放電電流が特に大きな場合は、陽極箔の酸化皮膜の誘電体損失が特性劣化に大きな影響を与える要因となりますので、この様な場合は、内部抵抗を小さくすることに加えて、誘電体損失の小さい仕様のコンデンサを用いる事が必要となります。

②放電による陰極箔の変化
 オーディオアンプの電源部の様に、頻繁にON/OFFを繰り返す回路に使用するアルミニウム電解コンデンサの場合、特性劣化の重要な要因として、放電時に起こる陰極箔上への酸化皮膜の生成が考えられます。これは放電電気量と陰極箔の静電容量の大きさに関係します。

図22 放電時の電荷の移動

図22 放電時の電荷の移動

 図22に充電から放電までの電荷の動きを示します。充電状態では図22(a)に示す様に陽極箔と陰極箔にそれぞれ電荷が蓄えられます。それが、放電状態となった時、電荷が移動して中和されていきます。しかし、この時、陽極箔に蓄えられる電気量が陰極箔より大きい場合、放電を終了しても過剰な電荷が残ってしまいます。(図22(c))。これは、陰極箔に対して順方向に電圧が印加された状態です。この電圧が陰極箔上の皮膜耐電圧を越えた場合、皮膜を通して電流が流れ、表面に酸化皮膜が生成されることで陰極箔容量が減少します。そしてその結果として、陽極箔と陰極箔の合成容量であるコンデンサの容量が減少します。また、この時の生成反応でガス発生し、内圧が上昇します。
 以下に放電終了時に陰極箔に加わる電圧についてもう少し詳しく説明します。
図23図24
 コンデンサに直流電圧を印加すると図23に示す様にその電圧は陽極箔と陰極箔の漏れ抵抗Rα,Rc に比例して分布します。そして、Rc は陰極上の薄い皮膜の電気の通りやすい方向の漏れ抵抗であるため››Rc となります。
 また一般に<Cc ですが、陽極箔と陰極箔に蓄えられる電気量Qa Qc の関係は式21のようになります。
式21
 ここでコンデンサの両端を接続して放電すると(Qa-Qc )の電気量が残り、式22で示される電圧Vc' が発生し陰極箔に加わります。(図24)
式22
 ここで、陰極箔の耐電圧V' は残留電圧Vc' より高く設定しなければなりません。
式23
 式23より、Cc/Cα をできるだけ大きくし、陰極箔皮膜の正方向耐電圧(V' )を高くすることがコンデンサの特性を安定させる方法と言えます。V' は通常の陰極箔では1~1.5Vです。この皮膜は高温下での耐圧低下、バラツキが問題となる場合もありますので、より安定で緻密な皮膜を持つ陰極箔を使用することが重要となります。また、化成箔を使用する場合もありますので、詳細につきましてはお問い合わせください。

6-3 ラッシュ電流

 ラッシュ電流(突入電流、始動電流)は、モーターを使用する機器や大容量の平滑コンデンサを有する機器などに電源を投入した際に一時的に流れる大電流のことで、その電流は定常状態の電流値に比べて非常に大きくなります。一般的にこのような始動時の大電流負荷は単発・短時間であるためコンデンサにとって問題にはなりませんが、頻繁に大電流負荷がコンデンサに掛かる回路の場合には、コンデンサの発熱が許容値を超えたり、内部電極と引き出し端子の接続部や外部端子との接続部において異常発熱することがありますので、注意が必要です。

6-4 過電圧印加

 コンデンサの定格電圧を超える電圧が印加された場合、電流が流れ、陽極の耐電圧が印加された電圧に見合うようになるまで酸化皮膜の形成が進み、コンデンサ容量の減少、tanδ(ESR)の上昇を生じます。また、この反応は発熱とガス発生を伴うため、内圧の上昇によるコンデンサの安全弁作動もしくは内部ショート破壊に至る場合があります。

図25 過電圧印加時の静電容量経時変化の例

図25 過電圧印加時の静電容量経時変化の例

6-5 逆電圧印加

 アルミニウム電解コンデンサには極性があります。逆電圧が印加されると、 電流が流れ、陰極の耐電圧が印加された電圧に見合うようになるまで酸化皮膜の形成が進み、コンデンサ容量の減少、tanδ(ESR)の増加、ガス発生を生じます。また、高い逆電圧が印加されると、ガス発生に伴う内圧の上昇によりコンデンサの安全弁が作動に至る場合があります。

図26 逆電圧印加時の静電容量経時変化の例

図26 逆電圧印加時の静電容量経時変化の例

6-6 直列・並列接続

①コンデンサの直列接続について
図27 コンデンサの直列接続
        図27 コンデンサの直列接続

 コンデンサを直列接続する場合、充電時にはコンデンサの両端の電圧は、コンデンサの容量に対し、逆比例配分されて印加されます。
 すなわち、
式24-26
 このため、静電容量のバラツキにより印加電圧にバラツキが生じ、場合によってはコンデンサへの印加電圧が定格電圧を超える事があります。この場合は、安全弁作動の原因となります。
 充電が完了した場合においては、コンデンサの端子間電圧は、コンデンサの漏れ電流のバラツキにより変化し、場合によってはコンデンサに過電圧が印加されることがあります。この場合も安全弁作動の原因となります。
 端子間電圧のバラツキを防止する手段として、図28の様に電圧配分抵抗(バランス抵抗)を入れ、容量バラツキが少ないコンデンサを使用することにより、電圧バラツキを少なくすることが出来ます。当社としては、同一製造ロットのコンデンサを使用することを推奨します。
 電圧配分抵抗(R )は、式27を目安として決定してください。

図28 コンデンサの直列接続(バランス抵抗付き)

        図28 コンデンサの直列接続(バランス抵抗付き)

式27
注)充放電負荷が大きい回路では、コンデンサの漏れ電流が経時的に増大することで
      電圧バランスがくずれ、バランス抵抗を設置していても片方のコンデンサに定格電圧を
      超える電圧が印加されて故障に至る場合がありますので、ご注意ください。

②コンデンサの並列接続について
 コンデンサを並列接続する場合、図29(a)のように接続すると個々のコンデンサの配線抵抗に差が生じるため、配線抵抗の小さいコンデンサに電流が優先的に流れて発熱が大きくなります。そうした場合、特定の位置(配線抵抗の低い場所)にあるコンデンサの特性劣化(容量減少、ESR増大等)が促進されて故障に至り、製品の期待寿命を満足できない可能性があります。従って、並列接続の場合には図29(b)のように等長配線となるような基盤設計をお願い致します。

図29 コンデンサの並列接続時の配線

図29 コンデンサの並列接続時の配線

6-7 再起電圧

 アルミニウム電解コンデンサを充電し、端子間を短絡させた後に開放状態にしておくと、電圧が再び上昇する現象が起こります。この時の上昇した電圧を再起電圧といいます。この現象が発生するメカニズムは以下のように考えられています。
 コンデンサは一般的に図30のように電極間に誘電体を挟む構成を持ち、アルミニウム電解コンデンサにおいてはアルミニウム表面の化成処理により生成させた酸化皮膜を誘電体としています。誘電体に電圧が印加された場合、誘電作用により誘電体内部に電気的変化が生じ分極が発生します。分極の発生は電界に即応せず、分子相互の弾性的な粘度に邪魔され、時間的な遅れを示します。分極には、配向分極(空間電荷分極)、イオン分極(原子分極)、電子分極があります。

図30 コンデンサ充電時の誘電体分極概略図

図30 コンデンサ充電時の誘電体分極概略図

 誘電体に電圧が印加された場合、イオン分極や電子分極は短時間で分極を完了しますが、配向分極には分極に長時間を必要とするような遅い分極発生を示すものがあると考えられています。 端子間電圧が0になるまで放電した後、端子間を開放状態にしておくと分極の遅いものの電位が端子間に現れ再起電圧を発生させます。
 再起電圧の発生は、1~3週間程度でピークとなりその後徐々に電圧が低下していきます。また、定格電圧の高い製品ほど再起電圧も高く、ネジ端子形や基板自立形といった大きいサイズのコンデンサほど、そのエネルギーも大きくなります。
 再起電圧の発生した状態で端子間を短絡させますとスパークが発生し、作業者に恐怖感を与えたり、回路上の低電圧駆動素子(CPU、メモリー等)が破壊される危険性がありますので、これを回避するため、ご使用前に1kΩ程度の抵抗器を介して放電処理を行ってください。また、弊社にて再起電圧対策を施した梱包の対応も行っておりますので、ご相談ください。

6-8 高所での使用

 山岳、航空機等の高所で使用される機器にアルミ電解コンデンサを使用する場合、外気圧の低下によりコンデンサ内部の圧力の方が相対的に高くなることが想定されますが、高度10,000m程度までの大気中での使用についてはコンデンサの封止性能上問題はありません。また、真空下での使用に関しましても同様に封止性能上問題はありません。
 但し、高度が高くなるにつれて気温が低下しますので、アルミニウム電解コンデンサが低温で容量減少・tanδ(ESR)増加する性質を持っていることを考慮に入れて機器の動作確認をお願い致します。参考までに高度と気温・気圧の関係を表3に示します。

表3 高度と気温・気圧の関係

高度(m)気温(ºC)気圧(hPa)
015.01013.3
2,0002.0794.9
4,000-11.0616.3
6,000-24.0471.7
8,000-37.0355.9
10,000-50.0264.3

 また、高高度あるいは減圧・真空状態では、コンデンサから外気へ放熱が小さくなり(熱抵抗が上がり)ますので、カタログの許容電流値に一定のディレーティングを掛ける必要があります。詳細につきましては、お問い合わせください。

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