製品情報:アルミ電解コンデンサ

アルミニウム電解コンデンサ テクニカルノート

4. 故障モード

 代表的な故障モードとその要因についてはこちらをご参照ください。

5. 寿命について

 アルミニウム電解コンデンサは、使用条件(環境条件や電気的負荷等)によって大きな影響を受け、静電容量の減少や損失角の正接(tanδ)の増大により寿命を迎えます。この特性の劣化は一般的にコンデンサ素子内の電解液の減少によって引き起こされ、電解液が封止ゴム材へ溶け込み外界へ蒸散する拡散現象として説明されます。

5-1 周囲温度と寿命

 アルミニウム電解コンデンサ寿命は温度依存性が高く、周囲温度と寿命の関係は使用温度が10ºC下がる毎にその寿命が2倍になるという考え方(10ºC2倍則)を基に式7で表されます。
式7

 実際のアルミニウム電解コンデンサの寿命については、一般的に電解液の封止ゴム材からの蒸散が支配的要因であり、その速度(拡散係数)は、アレニウス則に一致することが確認されております。図20にアレニウス則と電解コンデンサの寿命計算に一般的に使われている“10ºC2倍則”を、105ºC寿命を基準として比較したものを示します。この図から分りますように、70ºC~90ºCの領域でアレニウス則と“10ºC2倍則”は良い一致を示しますが、60ºC以下や105ºCを越える温度領域では、“10ºC2倍則”との乖離が認められます。

図20 アレニウス則と10ºC2倍則の比較(105ºC寿命基準)

図20 アレニウス則と10ºC2倍則の比較(105ºC寿命基準)

 従いまして以下の項で述べる寿命計算式はカテゴリ温度上限が105ºC以下の製品について主に適用されます。カテゴリ温度上限が125ºC以上の製品の寿命推定につきましては、別途お問い合わせをお願い致します。

5-2 リプル電流と寿命

 アルミニウム電解コンデンサは、他のコンデンサに比較し損失が大きく、リプル電流が印加された場合、ジュール熱を発生(自己発熱)します。この自己発熱によりコンデンサ内部(素子)の温度は、周囲温度またはコンデンサ表面温度より高い温度となります。また、このリプル電流による温度上昇は、アルミニウム電解コンデンサのドライアップが進むにつれコンデンサの抵抗成分も上昇するため、リプル電流による上昇温度に対する寿命加速は式7より大きい加速性を示します。

(1)コンデンサのリプル電流印加時におけるケース底温度と素子中心温度について
 リプル電流が印加された時のコンデンサの温度上昇は式8で表されます。
式8

β の値は、ケース表面積が大きくなる程小さな値となる傾向を示し、近似的に式9で示されます。
式9
ここで、β はケース底温度を基準にした場合の放熱係数です。

(2)コンデンサのケース表面と素子中心部の温度勾配について
 コンデンサの表面温度上昇と素子中心温度には温度勾配があり、その関係は式10によって
   表されます。
式10

表1 表面実装形、リード端子形の温度差係数

ケース外径(mm)Φ4~Φ8Φ10
Φ12.5
Φ14.5,Φ16
Φ18
a1.01.11.2

表2 基板自立形の温度差係数

ケース外径(mm)Φ20Φ22Φ25Φ3035
a1.31.31.41.51.64

注1:ΔT0はシリーズごとに設定されています。詳細はお問い合わせください。
注2:リプル電流の各周波数における補正係数をシリーズごとに規定しています。実使用条件の
        周波数ごとのリプル電流実効値を測定し、製品カタログ記載の周波数係数で割ることで定格
        リプル電流を定義した周波数の実効値に換算できます。(式11)

式11 製品カタログのリプル電流補正係数参照)

 産業機器等においては、ファンによる強制空冷や水冷によるコンデンサ底面の冷却が行なわれております。そのような場合、より正確なコンデンサの熱モデルを用いて計算する必要があります。詳細は お問い合わせください。

(3)リプル温度上昇と寿命について
 初期のリプル電流による発熱に対して、アルミニウム電解コンデンサの寿命がどのような加速性を持つか実験的に求め、このリプル電流による影響を加味して式12のように寿命を見積っています。また、リプル電流による寿命への影響度は、ドライアップ現象と同様に製品タイプ(サイズ)に依存するため、この効果を係数k で表しています。
式12

5-3 印加電圧と寿命

 基板自立形やネジ端子形のようにサイズが大きく電解液の保持量が大きい製品では、電解液のドライアップだけでなく電圧印加時に流れる漏れ電流による電解液消費も寿命に影響を与えます。この効果を取り込んだ寿命計算式は式13のようになります。
式13
 ここで、Min [A,B ]は、A,B のうち小さい数値をとることを意味します。
式13-2
 式13は、定格電圧の80%以下で使用するとコンデンサ寿命が定格電圧印加に比べκ倍になることを意味します。κの値については、お問い合わせください。
 この電圧依存性は、定格電圧が160V以上の基板自立形やネジ端子形にのみ適用されます。一方、面実装形・リード端子形等の小さいサイズのものや定格電圧が100V以下のものには適用しておりません。これは、サイズの小さいものではドライアップ効果の方が大きいこと、低圧品では電圧依存性が認められないためです。

5-4 製品タイプごとの寿命計算式

 5-1項から5-3項より、当社の寿命計算式は以下の通りとなります。

<表面実装形・リード端子形(耐久性規定温度105ºC以下)>
①定格リプル電流重畳で耐久性を規定している製品
式14
②DC電圧印加で耐久性を規定している製品
式15

※コンデンサ使用に際して下記に該当する場合は、別途 お問い合わせください。
  ・リプル電流による温度上昇(Tj)が20ºCを超える場合
  ・カテゴリ上限温度(T max)が105ºCを超える製品

<基板自立形>
①定格電圧100V以下の製品
式16
②定格電圧160V以上の製品
式17
※コンデンサ使用に際してリプル電流による温度上昇(Tj)が30ºCを超える場合は、
   別途 お問い合わせください。

<ネジ端子形>
①定格電圧100V以下の製品
式18
②定格電圧160V以上の製品
式19
※製品の使用される周囲温度ごとにリプル電流による温度上昇(Tj)の上限値を規定して
   おりますので、詳細は お問い合わせください。

 寿命計算式により算出された値は、参考値であり保証値ではありませんのでご注意ください。また、コンデンサを検討される際には、機器の設計寿命に対し十分余裕を持った製品を選定してください。なお、寿命計算結果が15年を超える場合は、15年が上限となります。それ以上の寿命を必要とされる場合は、別途お問い合わせください。

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