製品情報:アルミ電解コンデンサ テクニカルノート/コンデンサ、キャパシタ、電源ユニットのルビコン株式会社

製品情報:アルミ電解コンデンサ

アルミニウム電解コンデンサ テクニカルノート

3. 性能

3-1 静電容量

 コンデンサの静電容量は一般に式1によって表されます。

式1

 アルミニウム電解コンデンサにおいて、電極対向面積Sはエッチングにより拡面化された電極面積で低電圧用アルミニウム電解コンデンサでは見かけ上の面積の60~150倍となっています。
 また、電極間距離dは誘電体、即ち酸化アルミニウム皮膜の厚みに相当し、13~15Å/Vでありその比誘電率εr は、約8.5となります。
 実際のアルミニウム電解コンデンサは図1に示したように陽極箔と陰極箔で構成されており、陰極箔にも自然酸化皮膜もしくは低い化成電圧で形成した酸化皮膜があり静電容量を有しますので、アルミニウム電解コンデンサの製品容量Cp は陽極箔の静電容量Ca と陰極箔の静電容量Cc が直列に接続されていると考えて、式2のように計算されます。

式2

コンデンサに蓄積される電気量Q(クーロン)は端子間電圧をV(ボルト)とすると、

式3

となります。Q(クーロン)の電気量を充電するのに必要な仕事W(ジュール)は、式4の通りです。

式4

3-2 損失角の正接とESR

 理想的なコンデンサに正弦波交流電圧を印加すると、その電流は電圧に対してπ/2 進んだ位相で流れます。
 しかし、実際のコンデンサはπ/2 より進み方が小さくπ/2-δ となります。このδ を損失角と呼びます(図8)。

図8 損失角

図8 損失角

 また、この損失角の正接(tanδ)を用いて損失の大きさを示し、この値が小さい程、高性能で理想的コンデンサに近いと言えます。また、この損失角は一般的に誘電体の損失(誘電損失)の大きさを示す指標として用いられております。この誘電損失(tanδ)について複素平面で表したものが図9であり、式5のように定義されます。
式5

図9 tan

                 図9 tanδ

 アルミニウム電解コンデンサにおいて電流の位相の進み方が小さくなる理由の一つは、コンデンサの材料の電気抵抗です。アルミニウム電解コンデンサの場合、電極箔の固有抵抗、電解液の抵抗、端子の抵抗等がこれに相当します。もう一つの理由は、誘電体の誘電緩和現象によるものです。コンデンサへ印加される電圧が変化したとき、誘電体の分極が直ちに平衡状態に達しないため電流の応答が遅れ損失(誘電損失)が発生します。誘電損失(tanδ)は、誘電体固有の値を持ちます。その周波数依存を無視し一定値と考えますと、誘電損失による抵抗成分は、式5よりtanδ/2πfCとなり、周波数に逆比例することになります。よって、コンデンサの抵抗成分は、周波数依存を有し周波数の低いほど抵抗分が増加することになります。尚、アルミニウム電解コンデンサの等価回路を模式的に示したものが図10です。R は等価直列抵抗(ESR)と呼ばれ、上記説明した抵抗分を図10の直列等価回路として表した場合の抵抗分です。

図10 等価回路の模式図

            図10 等価回路の模式図

3-3 漏れ電流

 アルミニウム電解コンデンサに電圧を印加すると、最初はコンデンサの静電容量と直列抵抗で決まる大きな電流(充電電流)が流れますが、次第に電流が減少し、吸収電流の影響が無くなるまで充電すると、最終的には一定の電流(漏れ電流)へと収束します。(図11)

図11 漏れ電流の経時変化

図11 漏れ電流の経時変化

 この僅かに流れる漏れ電流の要因としては、誘電体(アルミニウム酸化皮膜)の欠陥部の存在や不純物等による誘電体の破壊、電解液成分による修復などが挙げられます。本来、漏れ電流とは、この収束した電流を指すのですが、収束までに時間が掛かりすぎるため、製品カタログでは便宜上、20ºC環境で直流電圧を印加した後1~5分後(製品ごとに時間を規定)の電流を漏れ電流として規定しています。

3-4 インピーダンス

 コンデンサに交流電圧を印加した時に電流の流れを妨げる要因となるものをインピーダンス( Z )と言い、Z = 1/jωC + jωL + R で表され、その大きさは式6で表されます。

式6

 これを模式的に図示すれば図12の通りになります。即ち、低周波領域ではXc が、共振点付近ではESRが、また高周波領域ではXL がインピーダンスの支配的成分となります。

図12 インピーダンス・ESR周波数特性の模式図

図12 インピーダンス・ESR周波数特性の模式図

3-5 温度特性

 アルミニウム電解コンデンサの各特性には温度依存性があり、特に低温域において電解液の抵抗の増加により大幅な静電容量の減少、インピーダンス及び損失角の正接(tanδ)の増加をみることがあります。また、漏れ電流は温度が高くなると大きくなります。図13に静電容量とインピーダンス、図14に損失角の正接(tanδ)、図15に漏れ電流の温度変化の例をグラフで示します。

図13 静電容量変化とインピーダンス比の温度特性の例 (20ºCを基準)

図13 静電容量変化とインピーダンス比の温度特性の例 (20ºCを基準)

図14 損失角の正接(tanδ)の温度特性の例

図14 損失角の正接(tanδ)の温度特性の例

図15 漏れ電流の温度特性の例

図15 漏れ電流の温度特性の例

3-6 周波数特性

 アルミニウム電解コンデンサの各特性には周波数依存性もあります。
周波数が高くなるにつれ静電容量は減少する傾向を示します。インピーダンス特性及び等価直列抵抗(ESR)の変化は3-4項の図12に示した通りです。これらの変化率は製品により異なり、その原因として次の事項が考えられます。
 ①電極箔のエッチング形状
 ②誘電体としての酸化アルミニウム皮膜の性質
 ③電解液の特性
 ④コンデンサの構造
図16に静電容量の周波数特性の一例を示します。

図16 静電容量の周波数特性の例

図16 静電容量の周波数特性の例

3-7 寿命特性

 アルミニウム電解コンデンサに直流電圧又はリプル電流を重畳した直流電圧を長時間印加すると、静電容量の減少、損失角の正接(tanδ)の増加がみられます。この変化量に一定の規格を設け、製品寿命を規定しています。また、無負荷で長時間放置した場合にも同様に静電容量の減少、損失角の正接(tanδ)の増加がみられます。静電容量及び損失角の正接(tanδ)の変化は、主として電解液の蒸発及び電解液成分の反応・分解による減少に起因し、特に高温中では、これが加速されます。
 漏れ電流は、直流電圧の印加した寿命試験では、誘電体である酸化アルミニウム皮膜は電解液を消費しながら常に修復されているので、一定値に収束したまま殆ど変化しません。これに対し、無負荷放置ではアルミニウム皮膜の修復が起こらないため漏れ電流の増加が見られる場合があります。
105ºC中での定格電圧負荷試験(Life試験)及び無負荷放置試験(Shelf試験)による各特性の変化の一例を図17~図19に示します。

図17 105ºC寿命試験 静電容量の経時変化の例

図17 105ºC命試験 静電容量の経時変化の例

図18 105ºC寿命試験 損失角の正接(tanδ)の経時変化の例

図18 105ºC寿命試験 損失角の正接(tanδ)の経時変化の例

図19 105ºC寿命試験 漏れ電流の経時変化の例 (Lifeのみ)

図19 105ºC寿命試験 漏れ電流の経時変化の例 (Lifeのみ)

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